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東西で告白話です。長編の一話目のつもりだったんですが、プロットががらっと変わりそうなので単発であげておきます。
もしよろしければ、追記からどうぞ~。

「うそは言えない」



練習の終わった部室で、鍵当番だった旭は机で日誌を書いていた。その後ろの畳の上で、西谷が寝転がっている。
西谷は、旭が鍵当番の日は一緒に最後まで残ることが多い。先にみんなと帰ってもいいよと言うのだが、一向に動こうとしないので最近はそんなことも言わなくなった。

西谷は一年の頃から、弱気な物腰の旭に怒ることも多かったが本当によく懐いていた。
周りから見てもそれは丸分かりらしく、からかわれることもしばしばだった。
何て答えればいいか分からなくて頭を掻くしかできない自分に対して、西谷は臆面もなく「俺、旭さん好きっすから!」なんて答える。

そんな西谷に旭は戸惑いながらも、嬉しいようなくすぐったいような気持ちを感じていた。
自分をエースだと、強い瞳を逸らさないで言ってくれる。それがどんなに自分の背中を押してくれたかは計り知れない。

「よし、完成。」

全項目を埋めた日誌を見返して、旭がつぶやいた。几帳面な性格なこともあって、ついこういった作業には時間を食ってしまう。
早く西谷も帰してやらなきゃな。
そう思って振り返ると、今日出された課題をしてるはずの西谷の横顔はなかった。
代わりに突っ伏している頭があり、かすかにすうすうと規則的な呼吸が聞こえる。

「・・・西谷?」

返事はない。逆立てた黒髪が、呼吸に合わせて揺れていた。

「毎日部活、頑張ってるもんな。」

そっと隣に座って、頭を撫でながら小さな声でつぶやいた。
いつも元気に動き回る小さな身体を、さらに丸めている姿は、なんとも微笑ましい。ゲリラ豪雨なんて呼ばれる彼も、黙っていれば小さな少年にしか見えないのだ。

気持ち良さそうに寝てるから、本当はそのままにしておいてやりたい。
けれど、ただでさえ遅い時間になっているし、警備の人が見回りにくるまでには出ておいた方がいい。
仕方ないので、旭は西谷の肩に手を置いて、軽くゆすってみた。

「おーい、西谷。帰ろう。」

反応はない。さらに強くゆすってみたが、それでも効果はないらしい。
子どもみたいだな、と旭はこっそり胸の内で思った。一度寝入ると、なかなか目を覚まさないあたりが。
ばしばし叩き起こすようなことは旭にはできないので、少し前屈みになって今度は耳元で話かけてみた。

「西谷ー起きてー。」

びくりっ。
そこでやっと反応が帰ってきた。むくりと頭が持ち上がり、見えてなかった顔がやっと姿を現す。
ゆっくりとこっちを向いた西谷は、まだ瞼が重そうで、少し呆けているように見えた。

「あさひ、さん?」

「うん、西谷おはよう。」

「・・・えー?」

いつもと余りに違う様子に、つい頬が緩んでしまう。快活にしゃべる彼からは想像できないくらい、気の抜けた声だ。
可愛いな、とおよそ男子高校生に対して抱くことはなさそうな感想を浮かべながら西谷を見ていた旭だったが、次の瞬間は目を見開くことになった。

「旭、さん。」

身体に重みがかかって来たと思ったら、自分の首に細い手が回されていた。
顔のすぐ隣にある黒髪からは、いつも西谷がつけているハードワックスの匂いがする。

「・・・え?」

どういうことだろう。
自分の首に回されているのは、身体に感じる重みは、触れる距離にある吐息は。全部、西谷の、ものだ。
抱きつかれて、いるのか?

「あの、に、にし・・・」

「旭さん、旭さん。」

寝起き特有の、鼻にかかった声が脳に直接響く。

「旭さんが、好きです。」

ゆっくりと後ろに引いていく頭が頬の横を通り過ぎて、初めて彼の表情が見えた。

「ずっと、好きだったんです・・・。」

頭がショートしそうだった。それはとても、柔らかくて、切なそうで、儚くて。
いつもの強い印象などすっかり影を潜めた、茹だけたような視線だった。

どくどくっと一気に鼓動が加速する。
顔に熱が集まって、耳は熱いし頭の回転はすこぶる遅い。

これは、一体、どういう意味か。
もちろん、いつも彼が示してくれていた、一人の先輩に対する尊敬の意味かもしれない。
好きだという言葉だって、もらったのが初めてというわけではないのだし。
あくまでも人間性、人として、という意味かもしれない。

ましてや彼は、今起きぬけで、寝ぼけているのだ。
しかし、それでも。

彼の言葉の向こう側に、どうしても特別な響きを感じてしまう。
いつもくれる言葉とは、あまりに違いすぎているから。

――西谷、それって、どういう意味?

そう聞こうとした瞬間、肩がものすごい勢いで押されて、旭は後ろに倒れそうになった身体をとっさに腕を突いて支えた。

肩を押したのは、間違いなくさっきまで自分の首に回っていた西谷の腕だ。
突然の行動に驚いて、旭が目線を向けると、そこには立ちあがった西谷がいた。

それを見て、旭は固まってしまった。

口元に手を当てて、俯いた顔には影がかかっていた。しかし座っている旭は見上げるような形だったので、その表情が余計によく見える。
耳まで真っ赤にして、目は少し動揺で潤んでいて。いつもまっすぐな視線はこちらに向かず、泳いでしまっている。小さな身体はぶるぶると震えていた。

「あ、旭さん、その、今、俺・・・」

「・・・。」

「その、寝ぼけ、てて。でも、だからって、言ったことは、その。」

まとまらずに、ぽろぽろと零れてくる言葉を黙って拾う。必死に言葉を紡ぎだそうとする彼を、ただ見守るしかない。
西谷がぎゅうと目をつむる。その表情があまりにつらそうで、もういいよと言いかけたときだった。

ばっと目を開けて、こちらを見据える瞳と目が合った。それは試合でいつも見る、真剣な西谷の瞳だった。

「・・・そういうことなんで。本気、なんで。それだけは、覚えててください!」

そう言って、西谷はばっと身体をひるがえした。横に置いてあった鞄を引っ掴んで、ずんずん扉の方へ進んでいく。

「ちょ、西谷っ!」

追いかけようと立ちあがろうとしたが、足に力が入らない。え、え、と焦るうちに、扉が勢いよく開いて風が入ってくる。
待って、と言おうとしたときには、扉はすでに閉まっていた。

「・・・どうしたらいいんだ。」

突然の告白、そして腰が抜けて立ちあがれないまま、一人取り残された自分。

旭はさっき西谷がしていたように、ごろんと寝転がって手足を投げ出した。
火照った頬の熱は、しばらく引きそうになかった。

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絵描きで字書きです。絵は主にpixivで活動中。
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